土地・電力・通信、3つ揃う場所はそう多くない

現場から見た“データセンター適地”の探し方と評価の視点

Date Icon
Jun 26, 2025

■ データセンター適地、そんなに多くはありません。

DXの進行、AIの台頭、5G・ローカル5Gの拡大に伴い、地域単位で分散されたデータセンター(エッジDC)のニーズは急速に拡大しています。

ところが、実際に構築可能な「適地」は、想像よりはるかに少ないのが現場の実感です。

なぜか?
それは、データセンターに必要な3大要素――土地・電力・通信のすべてが「揃っている場所」が、極めて限られているからです。

本記事では、Asset Marsが全国各地のプロジェクト支援を通じて培った**“データセンター適地”の目利き力と選定プロセス**を、専門的な観点から詳しくご紹介します。

適地の絶対条件①|【土地】は“広さ”より“法規制と活用難易度”

■ よくある誤解:「空いてる=使える」ではない

土地が空いていても、DCに転用できるとは限りません。
特に以下のような規制・条件が見落とされがちです:

  • 用途地域(市街化調整区域・第一種低層など)
  • 地区計画・建築協定の有無
  • 建蔽率・高さ制限・景観条例
  • 浸水・液状化などのハザードエリア指定
  • 建物を建てずに設置できるか(仮設構造 or 無人用途)

■ ポイント:行政調整+法規制確認は“初動の技術”

Asset Marsでは、候補地に対し建築指導課・都市計画課などとの事前ヒアリングを徹底します。
「建てられるか」ではなく「稼働に必要な構造が実装可能か」を判断基準にしています。

適地の絶対条件②|【電力】は“系統接続のリアル”で判断する

■ 重要なのは、引き込めるかどうか

高圧受電・200V三相などの設備要件を満たすには、現地の電柱・変圧器・ルート状況がすべて影響します。
以下は特に重視すべき点です:

  • 最寄りトランス容量の余裕/新設可能性
  • 送電線ルートの取得性(私道・敷地通過など)
  • 開閉器盤・引込盤の設置可否
  • 太陽光・蓄電池連系への適合性(スマートグリッド対応)

■ 事例:電気は来ているのに「実際には受電できない土地」

現地調査で「電柱あり」「引込可能」とされていても、
中部電力や関西電力などとの協議で「系統側に余力がない」と判明し、設置不可能となった事例は珍しくありません。

Asset Marsでは、電力会社との初期接続協議・容量確認を“目利きの一部”として実施しています。

適地の絶対条件③|【通信】は“実接続性と遅延”で評価する

■ 光ファイバーの“物理的な引き込み”が最大の壁

分散型DCは、クラウド接続・MEC構成・5G基盤などとの低遅延通信が求められるため、通信インフラの条件が極めて重要です。

  • 地域キャリアのPOPまでの距離・回線種別
  • 既存光回線の引き込み可否(地下ルート/共架交渉)
  • 遅延値(Ping測定)・通信冗長性の有無
  • ISPとのバックボーン契約可否

■ 目利きのポイント:「ファイバーが通っている」だけでは不十分

実際には、**「光回線の空きがない」「収容点が遠すぎる」「ルートが物理的に確保できない」**などの課題が頻発します。
私たちは、通信事業者との技術協議やルート設計も含めた適地判断を行っています。

データセンター適地は、「現場調査力」がすべて

これら3要素――土地の制度・電力の系統・通信の実線接続が、すべて整っている土地は、極めて稀です。
そして、それを“建てる前に見抜けるかどうか”が、プロジェクト成功の分水嶺になります。

Asset Marsでは、以下のような実務対応力を武器に、適地提案・構想支援を行っています:

  • 全国の自治体との制度的対話経験(調整区域・開発許可)
  • 電力会社・通信キャリアとの初期協議・系統図解析力
  • 地場不動産ネットワークと連携した“未流通地”情報収集
  • スピーディな現地踏査・設計へのフィードバック力

適地を探す・評価するならAsset Marsへ

  • 「DCを置きたい土地があるが適性がわからない」
  • 「土地はあるが、電力・通信の整備可否が不安」
  • 「計画段階での適地選定をプロに任せたい」

私たちは、“構想を動かせる場所”を一緒に探すチームです。