空調とラック配置の最適化で、消費電力を大幅削減

設備、冷やしすぎていませんか?

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Jul 9, 2025

■ データセンターは“冷やしすぎ”ている

データセンターでは、機器の安定稼働を優先するあまり、必要以上に冷却されているケースが少なくありません。実際、多くの現場で見られるのが「室温は20℃以下、サーバー吸気温度は15℃台」といった過剰冷却の状況です。

しかし近年、ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)などの国際基準では、サーバーの推奨吸気温度として「18~27℃」を許容しています。つまり、適切な温度帯を守れば、冷却のためのエネルギーをもっと削減できる可能性があるのです。

また、過剰な冷却は機器の結露リスクを高める要因にもなりえます。空調の効率性だけでなく、機器の長寿命化やリスク低減の観点からも、「冷やしすぎない」温度制御が重要視されています。

■ 空調と配置の最適化で、電力消費を大きく削減

消費電力の多くを占める空調設備。冷却の効率化は、すなわち電力コストの削減につながります。以下のようなポイントを見直すことで、冷却に使うエネルギーを大きく抑えることができます。

ラック配置と気流制御

  • ホットアイル/コールドアイルを整然と分離し、気流のショートサーキット(短絡)を防ぐ
  • ラック間にパーティションやカーテンを設置し、冷気と排熱の混合を防止
  • 空気の流れを妨げない配線・配管設計を行うことで、冷却効率のロスを最小化

コンテインメント導入

  • コールドアイルまたはホットアイルに天井・壁を設け、空気の流れを完全にコントロール
  • 空調効率を大きく向上させ、PUE(電力使用効率)の改善に直結
  • 温度ムラをなくし、ラック単位での温度安定性を高めることにも寄与

室温設定の見直し

  • 室温を1~2℃上げるだけで、空調エネルギーの5~10%削減が可能
  • 温度監視を強化することで、安心して温度を上げる環境を整備
  • 一定の管理温度内に収まれば、機器の性能や耐用年数に影響しない範囲での効率化が可能

■ Asset Marsのアプローチ:機材を変えずに効率を変える

Asset Marsは、設備更新に頼らず、「今ある環境をいかに最適化するか」に着目した支援を提供しています。

具体的には:

  • 空気の流れを可視化するためのCFDシミュレーションの実施
  • 温度センサーの設置によるリアルタイムモニタリングの強化
  • コンテインメント導入支援やラック配置変更のコンサルティング
  • 既存空調の再設定と、電力使用傾向の分析

結果として、平均で15〜20%の冷却電力削減を実現した事例もあり、同時に機器の安定性も向上しています。過剰冷却をやめることで、保守・運用コストの見直しにもつながっています。

さらに、こうした“運用の最適化”は、脱炭素社会を見据えたサステナブルなデータセンター運用の実現にも直結しています。機器の入れ替えをせず、今ある環境でどこまで改善できるか。Asset Marsはその実現に挑み続けます。

■ ファシリティマネジメントとの連携でさらなる改善へ

空調と配置の最適化は、設備部門単独で完結するものではありません。IT運用チーム、ファシリティマネジメント、建築設計の連携があってこそ、持続的な改善が可能になります。Asset Marsでは、こうした部門横断の協調体制構築も視野に入れた支援を展開しています。

たとえば、温度データと稼働負荷データを突合させた運用分析や、ラックごとの消費電力可視化などを通じて、部門間の情報共有と意思決定を加速。システム全体のバランスを整えながら、最小のコストで最大の効果を追求します。

■ まとめ:最適温度で、最適運用を

「冷やしすぎ」は、エネルギーの無駄遣いであり、CO2排出にもつながる大きな損失です。ラックの配置や空調設計を見直すだけで、大規模な設備投資なしに大幅な効率化が可能です。

Asset Marsは、こうした運用最適化の伴走支援を通じて、サステナブルかつ高効率なデータセンター運用を支えています。

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